原生林が残る芦生の森

芦生の森を知ったのはもう5年以上前のこと。滋賀県高島市にある白倉岳を登ったときにたまたま出会ったご夫婦に聞いた話が最初だった。白倉岳は杉の巨木があり、それがこの山のメインスポットでもある。しかし、そのご夫婦曰く、近くの三国山から続く「芦生の森」には、手付かずの原生林が残り、巨木もたくさんあるという。そんな話を聞いてから、何度かメンバーを募って行こうとしたが、天候や体調が理由でのびのびとなってしまっていた。
 そして、2009年5月30日、梅雨に入る少し前のこのいい時期、約1ヶ月前から気を許せる友人と話を進めた。また、この日は私のバースディ前日でもあり、楽しい思い出にしなければならない。
結局、職場の友人を中心に4人で決行だ。事前に地図やネットを調べると結構山深い道を進むようで、車でどのくらいかかるかはっきりしない。少し早めの朝8時に大津京駅前に集合し、我が愛車「ビアンテ」で滋賀県北東部の朽木村へ向かった。私はこの日のためにアウトドア用長靴も購入していた。他のメンバーから「あるきにくいんと違う?」と心配されるが、もう買ってしまったんだから履いていくしかない。作業場のおっさんみたいと言われようと関係ない。きっと長靴でよかったと思えるシチュエーションが出てくることを願って、一路車を走らせた。

予定通りの9時半過ぎに、目的地である生杉休憩所駐車場に到着した。とたんに雨がぱらぱら降り出した、山の天気は変わりやすいのか。少し様子を見、小降りになったところで、意を決して「三国峠 登山口」より、突入だ。もちろんちゃんと入山届けも書いておいた。駐車場には我々のほかにすでに3台ほど車も停まっていた。

皆、原生林と言う響きに胸もワクワク。さぁ出発だ。

三国峠まで約200メートルほどの高低差を30分ほどで一挙に上る。普段全く運動をしていない私にとってはちとしんどい。おまけに一人だけ長靴の登山だ。でも、決して長靴のせいにはできない・・・。足元は複雑な木の根っことぬかるんだ地面で何度も滑りそうになる。

今回の登山でやけに倒木が目に付く。すでに時が過ぎているようで、コケが一面を覆っている。
小雨の中、何とか無事に三国峠に到着。ここからは比較的楽な工程だ。休憩を兼ねてルートの確認だ。登山コースとして紹介はされているが、案内板は極めて不親切。当初、三国峠からシンコボ山まで尾根沿いに歩くルートを予定していたが、結局気づいた時には、枕谷の下山ルートを進んでいた。それに雨もきつくなってきた。しかし、これが逆に正解で、雨の中の枕谷原生林の雰囲気はなんとも言うずベリーグッド。

間違っていることを知らずにずんずん進む。

まちがってるかも・・・と思いながら、まだまだ進む

すべての木々がぐにゅっと折れ曲がって、不思議な光景を見せてくれる

ふと見上げると、大きな「サルノコシカケ」が。

清流の流れる谷にぶち当たり、確実に枕谷コースに入っていることに気づく。清流にはお腹の赤い「イモリ」が我が物顔に泳いでいる。
この枕谷コースは間違って正解。雨に湿った木々や森全体がなんとも言えない原生林の雰囲気を漂わせる。しずくに光るコケ、どんよりとした空気、すべてがマッチしていた。
枕谷コースの終点には、簡単なつくりの「中山神社」がある。皆ここで行程の無事を祈り出発するらしい・・・。そうここは通常コースのスタート地点なのだ。すぐ近くには京都府美山町から有料のバスが到着する長治谷作業所がある。
我々もここでお昼休憩だ。一仕事して、すでに汚れてしまっている我々を尻目に、バスから下りてきたばかりの観光客の団体が、メインコースの杉尾峠に向かって進んでいく

中山神社

長治谷作業所付近は開けていて、お昼を取るのに丁度いい。キャンプもできるようになっている。我々はここでサンドイッチのお昼と具沢山シチューを堪能した。担いできた水5Lも大分減ってきた。その分体が重くなったかな。
お昼を食べる頃には、空も晴れ太陽も照ってきた。
ここからのコースはここ芦生の森の標準コースで、歩道も完備され少し物足りない感がする。途中、いくつかの団体グループとすれ違いながった。団体の中にはタバコを吸っている人もいて驚き。巨木を探して、我々もさぁ出発だ。

丁度「タニウツギ」の花も満開できれなピンクの花びらをつけていた。

第一巨木発見。大きさはそれほど大きくないが、コケ生した雰囲気はバッチリ。

巨大な倒木

今回の旅一番のショット 原生林100%

約1時間半で折り返し地点「
杉尾峠」に到着。 ここから同じ道を引き返した。急に辺りに霧が立ち込めて、これまたなんとも言えない雰囲気に大満足だ。

帰りは、
地蔵峠ルートで戻った。峠入り口には「入山禁止」の注意書きがある。ただ、三国峠から入る人にとっては全く意味がない。
このゲート付近で最後のティータイム。私のプレバースデイも祝ってもらった。
地蔵峠から駐車場までは車道を歩いて30分ほど歩く。途中にも「タニウツギ」の群生や水溜りの中のおたまじゃくしの大群、タヌキなど、我々の目を楽しませてくれた。

そして、17時過ぎに無事、車まで戻ってきた。すでに他の車はなくなっている。
晩御飯の前に疲れきった体をほぐすべく、朽木村にあるてんくう温泉へ向かった。本格的な温泉でゆっくり体を休めて、まるで生き返ったよう。途中痛めていた右足も、丹念に行ったマッサージのおかげで、痛みもやわらいできたようだ。

今度は秋に紅葉を見に行こうねと約束をし、午後11時前に大津京駅前で解散したのであった。
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